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口述試験Ⅱ

昨日、口述試験でその内容を覚えているのは民法と行政法であったと述べたが、それは私が民法の口述試験を受けた時に失敗したと思い、反対に行政法では非常にうまく受け答えができこれで民法の失敗を取り戻せたと思ったからです。

民法では順番は試験の終わり付近で、私は相当な時間、三宿の研修所の中にとどまり続けた。口述試験では最初は大部屋で、試験が近づいてくると、別棟の1階の待合室に移される。
そこでは4,5名が待つこととなっており、更に次に試験を受けるとなると階上の廊下片隅のいすに座り、前の受験生の試験が終わり、自分の名前を呼ばれるのを待つのである。

民法では別棟に移されたとき、すでに日は沈みつつあり、薄暗く、薄寒いなかで、ドキドキとして自分の名が呼ばれるのを待っていた。もう日が暮れなずんだところ、私は階上の待合場所に移され、前の受験生の試験が終わるのを待っていた。

私は緊張の余り、胃壁がトロトロととろけ出していくのが分かるような状態であった。

やっと私の名前が呼ばれたとき私はほっとして試験室の内部に入った。
そこでまず聞かれたのは所有権の物権的効力の根拠とは、というものであった。

細かい説明はすべて省きますが、これに関しては私はさんざん考えた結果、請求認容権説を取ろうと考えており、その場でその旨を告げた。

すると主査が突如起こりだし始め、君はなぜそんな少数説を採るのかと一喝された。
訳もなく怒っている人間と議論のしようもないので、やむを得ず私は、自説を撤回し、通説・判例の行為請求権説に立つと自分の見解を改めた。

そうすると主査は、紙上に書かれた様々な事例を示し、私が立つといった見解では、どのような結論になるのか、その結論では妥当性を欠くのではないか、と私の主張に対して反論してきた。
私は、最初のうちは、そうですね。しかし通説・判例ではそうなります。と受け答えしていたのですが、次から次へ、通説・判例では不都合な結論となる事例を示し、私を責めるのです。

私は、最初はおびえてただただ論理的な結論はこうなると話するしかなかったのですが、主査が示す事例では私が当初主張した小数説ではすべて合理的な結論を導くことができるのです。そこで私はだんだん腹が立って来まして、主査に対して、私はこういう説を取ったのだからこうなるのはやむを得ないじゃないかと多少けんか腰になって主張しました。

こうなったら話は平行線です。試験が始まって20数分たったところで副査の先生がまあこのへんまでといわれて、民法の口述試験は終わりました。

試験が終わった直後は、少数説だからその見解がいけないなんて全く法律論議になっていない。とんでもない試験官だと思って興奮しておりましたが、その興奮もすぐに収まり、暗い夜道をとぼとぼ歩いて帰途に向かう途上では、あ~あ~、口述試験も今日までか、また来年も浪人かと思い、泣きそうな気になっておりました。

つづく
スペルボーン(Spellborn)