口述試験Ⅲ

前回は、民法の試験のことを述べた。
民法では、最後は私が腹を立ててしまい、失敗したと思う。
成績は分らないが59点を付けられたかもしれない。

反対にうまく行ったのは、刑法と行政法であった。

刑法は、主査が私の知っている先生であり、その先生の学説でも論文式試験を書けるまでは勉強していた。だからうまくいって当然であった。
成績は分らないがもしかしたら61点を取れていたのかもしれない。
ただ今となっては何を聞かれたかをもはや覚えていない。

私が、これは61点を取ったと自信を持てるのは、行政法である。

主査がだれかはわからなかったが、おそらく学者であろう。
民法と同様、自説に受験生を誘導したかったようである。

問題のテーマは、行政行為の取消と撤回の相違点であった。

試験は、まず行政庁がうっかり18歳未満の者に普通乗用車の免許を与えてしまったらどうすべきかということから聞かれた。

そのあと行政事件訴訟法の定める行政行為の取り消しを求める以上の判決を要求できるか、言い換えれば、裁判所が行政に一定の行為を求めることができるかといういわゆる義務付け訴訟は、現行法上、認められるのかというジャブが来た。

私は、義務付け訴訟自体は、主要な争点ではないと考えたので、判例の結論に従い、義務付け訴訟は行政庁の第一次判断権をうばうので、できないと答えた。むろんここで相手が突っ込んでくれば、いつでもその説を翻して、義務付け訴訟OKという結論に乗り換えるつもりであった。

しかし試験官は、私の予想通り、判例の結論と理由で納得したようで、それ以上突っ込んでこなかった。

そして次に質問してきたのが、行政行為の取消と撤回の相違点であった。

細かなやり取りはもはやおぼえていないが、私は主査の誘導にうまく乗り、通説では2点違うところがあるとされているが、主査の考え通りであると1点しか違いがないという結論にうまく辿りつけた。

試験が終わるまでの時間は、14~5分であったと思う。

私がうまく結論にたどり着いたので、主査はにこにこ、副査もにこにこ、もちろん私もにこにことして試験終了と相成った。

私は、これは61点以上は確実であろうと思い、もしかしたらこれで民法の埋め合わせができたと喜び勇んで、三宿の試験会場を出た。

口述試験の結果、それはすなわち司法試験の合否の結果であるが、私は無事、口述試験を一回でパスできた。

(司法試験を目指してのカテゴリーはまだ続きます)
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