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アルコール依存症に向けて(6)

前回、私が受験期に父が暴れたこと、受験不合格が決まった後に、私を京都に行かせようとしたことを書いたが、書いていて、その間に何らかの因果関係があったのではないかと思うようになった。しかしもはや父は亡くなっている、このことについてはもはや質問できない。ただ京都に行くことになったのが、私が若くしてアル中になった一助であることは間違いがないと思う。

友人は、我がマンションに一泊するつもりでやってきた。
昼間はどこでどうしていたのにかについては全く記憶がないが、外が暗くなって、酒を飲もうかという話になったと思う。
最初はビールであった。私のマンションの道路を隔てた斜め向かいにビールの自販機が置いてあった。たぶんここで買ったのではないかと思う。
ビールを飲んで気を良くした私たちは、近所の酒屋でウイスキーを購入した。
ウイスキーをどうやって飲んだのかは覚えていない。ストレートで飲んだのかもしれない。
ともかく私は、これまでからかけ離れた量のアルコールを摂取した。
飲んでいるとき覚えているのは、マンションのベランダから、「吐くぞ~」とさけんではいたことしか覚えていない。
覚醒したのは翌日の朝である。
私は吐しゃ物がこびりついたベッドの上で眠っており、部屋中には、こぼした醤油の奇妙なにおいが充満していた。
友人は私が起きる前に、起きたとのことであり、表を当てもなく徘徊した後帰ってきたとのことであった。
私を待っていたのはとんでもない二日酔いであった。友人は昼頃帰って行ったが、吐き気のおさまらない私は、近所の薬局まで薬を買いに行った。
その薬を買いに行く帰り、お姉さんが私に寄ってきて、万病に効く水を買わないかと言われた記憶がある。よほど私は他人から見てぼろぼろの状態であったのであろう。
だが若いというのは素晴らしいことである。
夜になる頃には、私は二日酔いの状態から脱していた。

それで、多分、多分当日であろうが、私はマンションの斜め向かいの自販機からビールを買った飲んだのである。
量はロング缶3本、1、5キロリットルである。
ビールは二日酔いの不快感を吹き飛ばしてくれた。
この日からである、私は毎日ロング缶3本を買いに行くようになった。
ビールは、受験という現実から私を引き離してくれたし、なんとかなるという気を引き起こしてくれた。

その結果、9月頃からは、予備校にもいかなくなり、夜はビールを飲み、昼近くまで寝て、起きだした後、本屋に行き、本を買って、読むという私の人生の前半期の生活がこのころ確立されたのである。
当時気に入った本は半村了の妖星伝であった。こんな面白い小説があったのかと思ったくらいである。
スペルボーン(Spellborn)