アルコール依存症へ向けて(8)

明け方4時までウイスキーを飲みながら日本史の復習をしていたわりには元気に試験会場につけたと思う。

試験開始時間は覚えていないが、9時か10字頃度はなかったであろうか。3科目全部の問題を渡されて、その中から回答していくと言うものであったと思う。
解答を始めた順番は良く覚えていないが、英語を最後に回したのは確かである。

問題内容はもはや記憶にはないが、日本史では日本最初の天皇の名前を聞かれたことを覚えている。戦前の尋常高等小学校では天皇の名を初代から暗記させられたということを聞いたことがあるが、私は天皇の名など覚えていない。今現在の天皇の名前も知らないくらいである。
悩んだ末、ふと出てきたのが神武という名前である。「神」に「武」なんて初代の名としてはなかなか良いではないかと思った。そこで神武天皇と書いた。正解である。次に覚えているのは数学で三角形一般の面積か何かを解答させる問題である。高校生の時にはその解法を覚えていたが、それはもはや一年前のことである。すっかり記憶から消えていた。悩んだ末、正三角形も三角形のひとつなんだから問題を正三角形に置き換えて計算すればよいではないかと思い、図を描いて計算して答えを出した。正解に至るまでの式の展開を書かなければいけないような問題だったらお手上げだったのであるが、問題文では解だけを枠内に記載すればよかったのでそれもクリアした。酒びたりの浪人生にしては結構頭が回ったのである。

そうして問題文に取り組んでいたのであるが、明け方まで飲んでいた酒が途中で切れてきた。
だんだんと気分が悪くなっていき二日酔い状態へと試験中に移行して行ったのである。
おまけに座った席が、教室の端で、私の隣においてあるオイルヒーターの熱気が私にまともに当たってくる。もあ~とした熱気で、吐きそうになってきた。
でもその場から逃げ出すわけには行かない。私には後がないのである。
我慢しつつ、問題を解いていった。しかし日本史と数学を解くのに意外と時間がかかってしまっていた。最後の英語に残された時間は40分くらいである。
もはや問題をゆっくり読んでいって解答している暇などない。
設問の冒頭にある英文をざっと読み、選択肢にある英文をこれまた流し読んで、その場で回答である。正解か否かのチェックをしている時間はなかった。
ここで役に立ったのが予備校の夏季特訓であった。
なんとか英文の意味を推察しながら、回答へと辿りついていけたと思う。
もはやこうなると二日酔いも何もなかった。
時間ぎりぎりに最後の問題を解き終わった。

あとは合格発表を待つだけである。
その後どうやって、京都に帰ったのかは覚えていない。

新幹線で京都または神戸に帰ったはずであるが、その時ビールを飲んだか否かは覚えていないがさすがに当時は新幹線の中でさえもビールは飲まなかったはずである。
大学時代以降はあまりに次々とビールを飲むので近くの人にあきれられた目をされた私であったが、まだ当時はうぶだったのである。 
[PR]
スペルボーン(Spellborn)