閑話休題(1)

私が司法試験に合格した時代は、試験合格後、2年間の司法修習を受けなければならなかった。
2年間の前半4ヶ月が、東京湯島にある最高裁判所司法研修所にて、座学にての勉学、その後全国各地の裁判所に分散されて、それぞれ4ヶ月づつ、民事裁判、刑事裁判、検事、弁護士の実務修習があった。
1年4ヶ月の実務修習をおえて再び司法研修所にて、まとめの学習、そして最後に一般的に2回試験と呼ばれる(2回目というのは、司法試験が一度目で実務家になるためのもう一度の試験という意味で2回試験と呼ばれている)試験を受けてそれに合格すれば一人前であった。
私が司法修習生時代であった頃はまた改めて語ることとなるであろうが、今日は、別の観点から当時の私について話してみようと思う。
私は、神戸に配転されたが、神戸での修習は、弁護、民栽、刑栽、検事の順であった。
弁護修習は各弁護士事務所に2名づつ、裁判修習は、各部に3名づつ、そして検察修習は、大部屋で9名で修習である。2回試験において最も勉強量を要するのが民栽であるから実務修習の最後が民栽であることが望ましく、検察修習は大勢の仲間と一緒にいられるので、みんなが仲良くなるには一番の機会であった。だから検察修習が最初であるのが望ましかった。
それが私の場合、弁護の次に民栽があり、最後が検察修習であった。
多少不利な割り振りである。
それでも検察修習は楽しかった。修習生室は法務合同庁舎の3階にあり、その隣に修習指導担当検事の部屋があった。担当検事の部屋の冷蔵庫にはビールがふんだんに置かれており、その隣のロッカーにはおつまみの乾き物が多量に置かれていた。
それで私は、猛烈に働き、午後5時には仕事を終わらせるようにして、5時と同時にビールの栓をあけ、一杯飲み始め、同期の仲間の仕事をひやかしていたのである。
6,7時になるとみんなそれぞれ割り当ての仕事を終え、指導担当検事の部屋に集まって、ビールを飲むこととなる。当然その頃にはおなかがすくので近くの中華料理屋からおつまみの出前を取る。それらすべては指導担当検事のおごりであった。
ちなみに裁判官室には冷蔵庫などない。当然仕事が終わったからと言ってビールなど飲めない。それに裁判官は付き合いが悪い。仕事帰りにおごってくれることなどまず全くないと言って良い。
それに対して検察庁はおおらかである。検事室には冷蔵庫が置いてあることがあり、ビールくらいは飲めるのである。

そうそうここで話したいのは、そんなことではない。
それは修習指導担当検事と私との比較のことである。
私は、1浪し、大学も7年かかって卒業し、そのあともプータローないしはニートとしてすごし、やっとのことで司法試験に受かった人間である。
司法試験に受かり、司法研修所から給料をもらい、一般の社会人と呼べるようになったのは、すでに30歳を超えていたのである。

ここまで私を堕落させたのはもちろんアルコールである。
でもまだ修習時代には私には自分にアルコール問題があるとは分かっていなかった。
ただ、同世代に比べて極めて出遅れたのは事実である。
それを思い知らされたのは検察修習が初めである。
つづく
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by kanta5988 | 2007-11-15 14:02 | 人生
スペルボーン(Spellborn)